著者:J.マルゴス・クラール
発行元:ビー・エヌ・エヌ新社
目次
日本語版刊行によせて 長谷川敦士
序章
・なぜ(why)?
・サービス・デザインとは何か
・なぜこのプロセスをデザインと呼ぶのか?
カスタマー・ジャーニー
・要求は決して「もの」ではない
・仮説の検証
・顧客接点(タッチポイント)
この種の課題への組織的な取り組み
・責任者は誰か
巻末付録
・ツール
解説 大崎優
感想
サブタイトルは「商品開発・サービスに革新を巻き起こす、顧客目線のビジネス戦略」ですね。
わずか100ページちょいの、薄い本なのですが、この薄い本のなかには、あらゆる考えを再構成してくれる素敵なエッセンスがギッシリと詰まってますわ。
本書のキモは18ページに書かれております。
もうひとつ重要なのが、製品やサービスをめぐるカスタマー・エクスペリエンスの大半において、それらを購入する瞬間は、ごく些末で、おそらくもっとも重要度の低い部分に過ぎないとの認識です。新しいスマートフォンを買うということは、そのスマートフォンの所有者になるということではありません。提供されるデジタル・サービスが利用できるということです。
しれっと書いてあるけれど、これがことの本質ナノよね。ものからコトへとか、言われていますが、それをわかりやすく説明したものですよ。
この話に気が付かない、日本企業や、韓国企業は、どんどんと市場から消えていくのでろうな。
単なるスペック至上主義ではない、と。
いや、ある程度のスペックは必要なのだけどね。
では、なぜ、このようなプロセスをデザインと呼ぶのかというと、その説明は23ページにあった。
デザインは、外観を美しく整えるだけの仕事ではありません。デザインとは、何かに「形を与える」ことを意味します。つまり、無形のアイデアを有形化し、人々が経験できる事物として形作ることです。デザインは問題解決のひとつの手法であり、そこでは以下4つの主要な課題に取り組むことが求められます。
●理解のしやすさ
●使いやすさ
●個別性
●外観の美しさ
今まで、自分がデザインだと思っていた物は、大きな勘違いであったことを、教えてくれましたね。
で、繰り返しになるのですが33ページにある
要求はけして「もの」ではないという章。
まさに、そうなのよね。
小売店は、販売戦略として、人々が何を購入するかを分析することがありますが、そこに目を向けると、間違った方向に行く可能性があります。問うべき問題は、なぜ顧客が、その製品を購入するかです。購買行動の背後にあるモチベーションこそが、購入の対象物を決定します。
いや、おっしゃるとおり。
あと、本書でためになったのが、顧客接点(タッチポイント)マトリックスだな。
これは、そのなのとおり、顧客接点を整理する表なのですが、これがまた、わかりやすい。
縦軸が
- 舞台/場所(接点が発生するのはどこか?オンラインか、それとも実世界か?)
- 観客/顧客(顧客は何をするか?)
- 俳優/スタッフ(スタッフは何をするか?)
- 脚本/手続(どのような処理またら手続きをすすめるべきか?)
- 舞台裏/サポート機能(スタッフが取り扱わなければならないツールは何か?)
で、横軸は
- 訴求(何が顧客・ユーザーな注意をひきつけるか)
- 選択(何をすれば、製品・サービスの選択がより容易になるか)
- 使用(顧客が製品・サービスを実際に使用する過程で何が起きるか)
- サポート(製品・サービスをより使いやすくするうえで役立つのは何か)
- 顧客維持(何をすれば、顧客が確実に再訪してくれるか)
このマトリックスに取るべき行動をいれると、キレイにコミュニケーションが整理できるとな。
素敵な本ですやん。
これからのマーケティングに役立つ、サービス・デザイン入門 -商品開発・サービスに革新を巻き起こす、顧客目線のビジネス戦略
- 作者: J.Margus Klaar,長谷川敦士,郷司陽子
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
- 発売日: 2015/10/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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タイトル:これからのマーケティングに役立つ、サービス・デザイン入門
著者:J.マルゴス・クラール
発行元:ビー・エヌ・エヌ新社
おすすめ度:☆☆☆☆(素敵な本ですやん)