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GMの言い分 何が巨大組織を追いつめたのか

著者:ウイリアム・J・ホルスタイン
訳者:グリーン裕美
発売元:PHP

目次

第1部 競争の中で
(一体どこで道を誤ったのだろうか?;現場の人々;GMはアメリカにとって必要なのだろうか?;リック・ワゴナーとは?;二〇〇五年危機の幕開け)
第2部 GM、改革に向けての努力
トヨタ方式の導入;GMSシステムの成功を目指して;再びデザイン前進へ;新型カマロに向けた魂の戦い;シボレー・ボルト;マルチメディアツール・オンスターの開発;ビュイックが君臨する中国;世界のGM)
第3部 GMの将来
(企業イメージとの戦い;トヨタ—「結局は人間だ」)
経済危機とGMの将来

 

感想

本書が日本で発行されたのは2009年。GM会社更生法が適用されたのは2009年6月1日。この著者も、ボブ・ラッツも、リック・ワーゴナーも「GMを取り巻く状況は悪いかもしれないけれど、70年代~80年代のGMのようになにもしないでいるわけじゃないんだから、大丈夫」と思っていた時代に書かれた本なのですな。

 

まぁ、成功しすぎてしまったがゆえに、その成功体験にしがみついてしまい、変化に合わせて体制を変えることができなかった・・・と言い切れちゃうんですがね。

 

でもね、GMだって変わろうとしていたん出すよ、と。キャデラックはそのデザインコンセプトから見直し、ヨーロッパにも、日本にもない高級車に生まれ変わりましたし、シボレー・ボルトは、プリウスと互角に戦える新世代モデルなんですから。工場の生産性だって、悪い悪いと言われているけれど、北米にあるトヨタの工場と大差なくなってきているし、中国市場じゃ、VWとシェアNo1争いをしているし・・・

 

だから、これからの未来は明るかった・・・

 

のが、リーマンショックでやられちゃったのよね、と。

 

いや、正しくはリーマンだけじゃないのだけれど。労働組合の要求を飲みまくってきたからかもしれないけれど、そうかもしれないけれど、GMの工場が労働者階級の方々に手厚い補償を与えたおかげで、アメリカには分厚い中産階級ができたんだしさ・・・

 

なんてことを考えてしまう1冊ですわ。

 

 

GMの言い分

GMの言い分

 

タイトル:GMの言い分
著者:ウイリアム・J・ホルスタイン
訳者:グリーン裕美
発売元:PHP
おすすめ度:☆☆(とはいえ、キャデラックはよい)