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自由と規律 イギリスの学校生活

著者:池田潔
発売元:岩波書店

 

目次

パブリック・スクールの本質と起源
その制度
その生活(寮;校長;ハウスマスターと教員;学課;運動競技)
スポーツマンシップということ

 

感想

 

すげ〜本に出会った。

こいつはすごい。

学生時代を英国で過ごしていた著者の教育論というか、自由論。

初版は1949年。

読んだのは2006年発行の第91刷w

すごい!

古典!

もちろん、珠玉のフレーズ満載。

 

ハマったのが91ページ

 

すなわと、長い将来について子弟の利害を慮って、一時の憐怒を捨てる、強く逞しいその愛情をいうのである。パブリックスクール教育に対する彼等の絶大な信頼が、苦しきを知って敢えて愛児に苦につくことを求めるのである。

 


149ページ

 

注目すべきことは、その才幹に恵まれないものが自らの資質を明確に認識し、その最適と信ずる部署に甘んじ、全体の利益に奉仕することを悦びとし、いささかの不満もなく指導者の命に服すことである。競技団体が完全な組織として機能を発揮するには、指導者と被指導者が判然と区別され相互の間に緊密な協力を必要とすることは自明の理である。秩序ある社会の運営もまた同じと彼等は考えるのである。万人が指導者足り得ぬとすれば、その間、明確な一線があり、両者協力の光化を最大ならしめる手段の一つとして、前者に対する後者の服従が要求されるのが当然である。


156ページ

 

すべてこれ等のことは自由の前提である規律にほかならない。自由と放縦の区別は誰でも説くところであるが、結局、この二者を区別するものは、これを裏付けする規律があるかないかによることは明らかである。社会に出ておおらかな自由を享有する以前に、彼等はまず規律を身につける試練を与えられるのである。


あれなんだあよねぇ。

イングランドの名門と言われる学校にはポロとか、ボートとか、ラグビーとか、フットボールとか、クリケットとか、そういう団体競技のものすごいクラブと授業があるわけでさ、それが自由の前提である規律を身につける鍛錬の場所だったりするわけでさ。

 

そんなグレートブリテン島から遠く離れたファーイーストのジャパンって、団体競技のスポーツがないよねって思うのよね。

 

野球が盛んで、Jリーグもあるからなんとなくごまかされているけれど剣道も、柔道も、合気道も、なぎなたも、弓道も、基本的に個人競技だし。

 

まぁ、そのへんはスポーツではなく道であるって意見もあるけれどさ

 

そんな差を考えないで形だけ輸入しちゃったから「自由」ってもんを大きく勘違いしちゃっているんじゃないかしらと思うのよね。

 

うちの子にはレガッタとか、やらせたいねw

 

 

自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書)

自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書)

 

タイトル:自由と規律
著者:池田潔
発売元:岩波書店
おすすめ度:☆☆☆☆☆(なんどでも読みたい)