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社員をサーフィンに行かせよう パタゴニア創業者の経営論

著者:イヴォン・シュイナード
発行元:東洋経済新報社

 

目次

第1章 イントロダクション
第2章 パタゴニアの歴史
第3章 パタゴニアの理念
第4章 地球のための1パーセント同盟
第5章 百年後も存在する経営

感想

パタゴニアを単なるアウトドアブランドだと思って、本書を読むと、怪我をします。
そして、タイトルから内容を推測して読むと、度肝を抜かれます。

本書は21世紀最高の経営書、ビジネス書となるでしょう。

で、タイトルにもなっている「社員をサーフィンに行かせよう」の意味なのですが、これはパタゴニアの非公式ルールなワケですよ。

別に福利厚生のため二ってワケじゃないのね。
ちゃんと意味があるのよ。
その意味とは・・・

(1)責任感
(2)効率性
(3)融通を利かせる
(4)協調性

・・・という4つの点を社員個人に根付かせるためなのですよ。

さてさて、この4点は巻頭にほど近い場所に書いてあるのですね。
つまり最初に目にはいるのですよ。
で、この4点を頭に入れて本書を読み進めていくわけなのですが、そうすると、「社員をサーフィンに行かせよう」というのが絵空事でも、きれい事でも、妄想でも、空想でもないと言うことがわかってくるのです。

たとえば208ページ

企業が真に責任を負うべき相手は、誰なのか。顧客か。株主か。従業員か。私たちの見解では、そのどれでもない。企業は本質的に、資源を生み出すとともに責任を負う。健全な自然環境がなければ、株主も、従業員も、顧客も、そして企業すら存在しないのだから。

あと、210ページ

パタゴニアでは利益を上げることそのものを目標にしていない。禅師は利益は他のことをすべて正しく行ったときに生じると言うだろう。

あと、216ページではオーギュスト・ルネ・シャトーブリアンの・・・

人生の達人は、仕事と遊びの区別も、労働時間と余暇、心と体、教育と娯楽の区別もつけない。両者の違いがわからないのだ。何をするのであろうと、ひたすら至高を求め、仕事か遊びの判断は他人にゆだねている。本人にしてみれば、恒に両方を行っているようなものだ。

という言葉を引用していたり、
あと、235ページでは

ビジネスを今後、百年間存続させたいなら、オーナーも、経営者も、変化を歓迎した方が良い。活力のある企業の経営者にとって、何より大切な責務は、変化を促すことだ。

なんていうフレーズが出てきて、イヴォン・シュイナードの深い思考が伝わってくるわけですよ。

そして、個人的に一番心に刺さったのは255ページから始まる5つの理念。

(1)吟味された生活をする
(2)自分の行動をただす
(3)罪を償う
(4)市民が主役の民主主義を支援する
(5)他の企業に影響を与える

経営とは哲学であり、自然であることを教えてくれるすばらしい1冊。
「俺、経営者じゃないし」という人も読んだ方が良いです。
人間は自然の中で生かされている。
これは、経営者でも、従業員でも、顧客でも、株主でも変わらないのだから。

パタゴニアがシーシェパードのスポンサーだったとしても、そこを差っ引いても、この本はおすすめできますね。

 

 

新版 社員をサーフィンに行かせよう―――パタゴニア経営のすべて

新版 社員をサーフィンに行かせよう―――パタゴニア経営のすべて

 

 

タイトル:社員をサーフィンに行かせよう
著者:イヴォン・シュイナード
発行元:東洋経済新報社

オススメ度:☆☆☆☆☆☆(久々に満点以上!)