著者:ジェイク・エーデルスタイン
発売元:Amazon Services International, Inc.
感想
この本はまじでやばい。
最初は英語版のみで発売されていたのですが、その後、日本語版が発売されることに。しかし、日本語版を取り扱うことに大手版元が恐れをなしてしまい、発売元は「Amazon Services International, Inc.」。
日本最大の暴力団山口組。その山口組の中でもっとも武闘派と呼ばれる後藤組の秘密に迫り、後藤組から命を狙われるまでになった著者。日本滞在時には警視庁の保護下に置かれ、アメリカの自宅と家族はFBIの保護家に置かれているという事実。
本書のサブタイトルは「アメリカ人記者の警察回り体験記 」で、本書の中盤までは読売新聞の労働環境を面白おかしく綴った内容となっています。著者のジェイク・エーデルスタインは読売新聞初の外国人記者。海外支社に現地採用されたのではなく、上智大学を卒業後、普通に就職活動を行い、読売新聞東京本社に採用されたヒトなのね。
ちなみにこの著者は、浦和支局に配属されるのですけれど、浦和時代に「埼玉県愛犬家連続殺人事件」でスクープを連発しているのよね。
そんなユダヤ系アメリカ人が綴った日本の新聞報道の裏側が面白おかしく書かれているのですけれど、それがどんどんどんどんシリアスになっていく。
そのシリアス度は後藤組組長後藤忠政の悪事をマスコミに暴いたところから加速していく。
日本人社会に生きる異邦人ということで、タブー無しで一気に切り込む内容。創価学会も、山口組も、バーニングも、朝鮮総連も、警視庁も、日本人がゴッドファーザーの世界を見るかのような視点で切り込んでいく。
伊丹十三が自殺ではなく、後藤組の人間により、自殺させられた、なんて記述まである。
そりゃ、日本語で書籍化するのを恐れる版元出てきますわ。
ココまで実名で色んな人間が登場するのじゃ、そりゃ、日本で販売できないよなぁ。。。と。ある意味公然のタブーですけれど、知っているヒトであっても、よっぽどのことでなければ口にしない、サッカー・三浦知良の実父・納谷宣雄の名前も出てくるものなぁ。
話はつい最近、山口組の分裂の話まで出てくる。そして、著者いわく、山口組分裂の引き金を引いたのは後藤組長であるのだとな。司忍組長が残忍なやくざとして世の中的に語られておりますが、実はそうじゃないと。後藤組長によって風紀が乱されてしまった山口組を昔の姿に戻そうと頑張った司忍組長一派と後藤組長一派の戦いが山口組の分裂に繋がったのだとな。
いやはや、すごい本ですわ。
アサヒ芸能や、週刊大衆だってココまでは書かないしな。