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失敗の本質―日本軍の組織論的研究

著者:戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉乃尾孝生、村井友秀、中野郁次郎
発売元:中央公論社

 

目次

はしがき
序章 日本軍の失敗から何を学ぶか
一章 失敗の事例研究
   1 ノモンハン事件――失敗の序曲
   2 ミッドウェー作戦――海戦のターニング・ポイント
   3 ガダルカナル作戦――陸戦のターニング・ポイント
   4 インパール作戦――賭の失敗
   5 レイテ海戦――自己認識の失敗
   6 沖縄戦――終局段階での失敗
二章 失敗の本質――戦略・組織における日本軍の失敗の分析
三章 失敗の教訓――日本軍の失敗の本質と今日的課題

 

感想

 

やっぱ、名著だよなぁ。

名著。

日本的左翼な方々は、この本の存在すら認めたくないんだろうな。

そして、そのような思考回路こそが、すべての過ちであると、この本は教えてくれるのですよ。

マジで名著です。

 

その辺の話は24ページに

 

そして、多くの場合、それらの失敗の原因は当事者の誤判断といった個別的理由や、日本軍の物量的劣勢に求められた。しかしながら、問題はそのような誤判断を許容した日本軍の組織的特性、物量的劣勢のもとで非現実的かつ無理な作戦を敢行せしめた組織的欠陥にこそあるのであって、この問題はあまり顧みられることがなかった。否、むしろ、日本軍の組織的特性は、その欠陥を含めて、戦後の日本の組織一般のなかに概ね無批判のまま継承された、ということができるかもしれない。

 

そうなんですよな。

政府という組織ではなく、会社という組織にこの欠点というか欠陥はたくさん見受けられるのですよ。

 

また、105ページには

 

近代戦における情報の重要性を認識できなかった。米海軍情報部は多大の努力を払って、日本海軍の暗号読解に成功したのに対し、日本海軍は米海軍の暗号を解読できず、傍受した通信の解析を中心に状況判断を行っていたに過ぎない。情報収集力の不備を他の要因でカバーできると考えていたのであろうか。

 

これも、日本の会社という組織によく見られる話ですわな。

それも、営業という組織によく見られる話ですわ。

ま、データを集めるだけじゃないにもできないのですが、集めることすらしていない会社ばかりですからね。

で、なんで、そのようなことをしていないのかというと、「めんどくさいから」とか「そういうスキルがないから」というのではなく

目的が単純化されていないからなんですわな。

目的がはっきりしていないから、何のために情報を集めていいかすらわからない、と。

目的がはっきりしていないのであれば、目的をはっきりさせればいーじゃねーかって話になりそうですが、実はそう簡単には行かない。

 

331ページにもありますが

 

学生にとって、問題はたえず、教科書や教官から与えられるものであって、目的や目標自体を創造したり、変革することはほとんど求められていなかったし、また許容されてもいなかった。

 

そりゃ、目的の再設定なんて出来るわけないすよねって。

で、イノベーションというのは異質な人間や、考え、情報や、偶然を取り込んで生まれれるわけですから、同一均一的な人間が前例主義で仕事をしていたら、そりゃ革新的なことも、目標の再設定もできませんよねって話ですな。

 

 

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

 

タイトル;失敗の本質 日本軍の組織論的研究
著者:戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉乃尾孝生、村井友秀、中野郁次郎
発売元:中央公論社
おすすめ度:☆☆☆☆☆(名著。いわゆる「空気」じゃないところに引っかかった)