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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

良い戦略、悪い戦略

著者:リチャード・P・ルメルト
発売元:日本経済新聞出版社

 

目次

第1部 良い戦略、悪い戦略

第2部 良い戦略に活かされる強みの源泉

第3部 ストラテジストの思考法

 

感想

すげぇ、いい本に出会った。

世の中の自己啓発系のビジネス書が霞むな。

この本すごいわ。

戦略ってそもそも何なのか?

成功する戦略と失敗する戦略って、その差はなにか?

そもそも、良い戦略だってみんな知っているのに、なぜ、他の会社は成功しないのか?

その辺がしっかりと書かれておりますわ。

素晴らしい本ですわ。

ちなみに、良い戦略については、いきなり4ページに書かれております。

 

良い戦略は必ずと言っていいほど、このように単純かつ明快である。パワーポイントを使って永遠と説明する必要などまったくないし、「戦略マネジメント」ツールだとか、マトリクスや、チャートといったものも無用だ。必要なのは目前の状況に潜む一つか二つの決定的な要素、すなわち、こちらの打つ手の効果が一気に高まるようなポイントをみきわめ、そこに狙いを絞り、手持ちのリソースと行動を集中すること、これに尽きる。

 

と。

これ、ランチェスター戦略だね。

と思ったりもする。

本の構成が、このように筆者の考えを述べたあと、それを説明するような事例が紹介され、そして筆者の考えがまた述べられる、というつくりになっているので、読みやすい本でもあるのだわ。

で、本題。

戦略だ、戦略だ、って話を集中するようになると、戦略の話にばかり目が言ってしまうわけですが。それが失敗の原因であるってことも教えてくれるのですわ。

それが39ページから40ページ

 

だがもちろんMBAコースに来ている企業のエグゼクティブたちには、競争のことが頭の片隅に浮かんだはずだ。それでも@成功要因を挙げよ」と言われると、競争相手のことはほとんど忘れてしまう。このケーススタディでは毎回こういう結果になる。そして参加者は、戦略を考えるときはつねに競争を考慮しなければならないことを学ぶのである。
勝ち組の行動に注目するだけでは、全体の半分しか見たことにならない。大勝ちする企業があるときには、必ず競争に参加できないか、負けを喫する企業が存在する。

 

これは、ほとんど同じことを考えていたWalmartとKマートであったのに、なぜWalmartが勝利したのか?その原因は何があるのか?って話からの気づきなわけですわ。

良い戦略をとった会社がかつとは限らない。

いや、良い戦略をとったのはWalmartで、Kマートは考えついたけれど、取らなかったわけだ。

これは、

コンビニのビジネスモデルを考えるときにセブン-イレブンは成功しているのにローソンが失敗している

とか

外食産業のビジネスモデルを考えるときにスターバックスは成功しているのにマクドナルドは失敗している

その理由を探って、戦略を成功させる方法を考えるので練習ができますわな。

で、良い戦略の基本構造というものを更に具体的にまとめると、108ページ

 

 

1 診断
状況を診断し、取り組むべき課題をみきわめる。良い診断は死活的に重要な問題点を選り分け、複雑に絡み合った状況を明快に解きほぐす。
2 基本方針
診断で見つかった課題にどう取り組むか、大きな方向性と総合的な方針を示す。
3 行動
ここで行動と呼ぶのは、基本方針を実行するために設計された一貫性のある一連の行動のことである。すべての行動をコーディネートして方針を実行する。

 

なんですとな。

ここまでが良い戦略のおはなしで、此処から先が悪い戦略の話ですわな。

で、悪い戦略というのは49ページにまとまっており

・空疎である…戦略構想を語っているように見えるが内容がない。華美な言葉や不必要に難解な表現を使い、高度な戦略思考の産物であるかのような幻想を与える。
・重大な問題に取り組まない…見ないふりをするか、軽度あるいは一時的といった誤った定義をする。問題そのものの認識が誤っていたら、当然ながら適切な戦略を立てることはできないし、評価することもできない。
・木業を戦略と取り違えている…悪い戦略の多くは、困難な問題を乗り越える道筋を示さずに、単に願望や希望的観測を語っている
・まちがった戦略目標を掲げている…戦略目標とは、戦略を実行する手段として設定されれるべきものである。これが重大な問題とは無関係だったり、単純に実行不能だったりすれば、まちがった目標と言わざるを得ない。

 

で、このへんの話が少しわかりにくい方のために

たとえばアメリカにとって、自由、正義、平和、安全、幸福は最終目標と位置づけられ、それを実行可能な戦略目標に転換するのが戦略の役割になる。たとえば「タリバンを倒してインフラを再建する」などは戦略目標に当たる。最終目標に即して戦略目標を耐えず微調整するのはリーダーの大切な仕事である。

と説明してくれている。

ちなみに、悪い戦略が世の中に充満するのは、分析や論理や選択を一切行わずに、言わば地に足のついていない状態で戦略をこしらえようとするから

なんですと。

つまり、地味で面倒な現状把握や、調査が嫌だ、と。

現実を見つめないから、ろくな戦略を立てることができないのですわな。

どちらにしろ、現状をしっかり把握するってことが良い戦略をとることの基本なわけですわな。

 

 

良い戦略、悪い戦略

良い戦略、悪い戦略

 

タイトル:良い戦略 悪い戦略
著者:リチャード・P・ルメルト
発売元:日本経済新聞出版社
おすすめ度:☆☆☆☆☆(素晴らしい本ですわ。)