著者:沼上幹+一橋MBA戦略ワークショップ
発売元:東洋経済新報社
目次
序 章 戦略思考力の高度化をめざして
第1章 エコシステム全体をとらえるマーケティング戦略
第2章 縮小市場における成長セグメントの取り込み
第3章 顧客のトレンドの変化と市場動向
第4章 造船業界における市場地位別の競争戦略分析
第5章 ネット通販の普及による利益ポテンシャルの変化
第6章 コンビニエンスストア業界の二極化要因
感想
世の中にはものすごくマニアックな本があるんだな。
そして、これは教科書というか、論文集だな。
で、論文というのは、やはり膨大な調査から成り立っているんだな、と再確認。
で、各企業の戦略がいろいろ紹介されているのですが、これがそのまま仕事に使えることはなく、それら企業がそのような施策を取るために考えたであろう、思考のフレームワークが、使えるわけですよね。
ちなみに登場しているのは
P&Gと食器用洗剤
大和ハウスと賃貸住宅市場
生命保険業界
造船業界
宅配便業界
セブン-イレブンとコンビニ業界
まぁ、しかし様々なところから情報を集めてくるのですよ。
そして、しっかりびっくりするほど考えられているのですよ。
で、それが使えるのですよ。
例えば、食器用洗剤の世界ですと
水栓の変化(湯・シャワー等)など食器洗いを取り巻くエコシステムが大きく変化したにも関わらず、花王とライオンはそれを視野に入れた競争対応を行っていなかった。そのためP&Gはエコ紙syテムの変化に合わせた差別化を行って、その差別化製品に経営資源を集中投入し、シェアを大きく拡大することができた。
あと
食器用洗剤市場は成熟期にあり、しかも寡占化が進んでいた。成熟し、寡占化が進んだ市場では、一般的に考えれば市場シェアの大きな変動は起こりにくい。なぜなら、成熟期に入ると簡単にブランドスイッチが起こらなくなり、また寡占企業は暗黙のコミュニケーションをはかって価格水準を維持し、市場での利益性を確保するように振る舞うというのが定跡だからである。
で、大和ハウスと賃貸市場
大和ハウスが防犯配慮型賃貸住宅で成功した背景には、同社の直接顧客である家主=土地オーナー(一次顧客)と関節顧客=賃貸住宅の借り手(二次顧客)という2つの顧客に関して明確なセグメンテーションとターゲティングを行っていたこと、すなわち「二重のターゲティング」にある。
あと、保険の章ではペントアップデマンドということを教えてくれまして、これは
ペントアップデマンドとは、繰越需要や繰延需要などと訳され、本来顕在化しておかしくない需要が次の時期に繰り越されてでてくる需要のことをいう。例えば景気後退期などに買い替えを我慢していた顧客の需要は累積的に積み上げられていて、景気回復期にそれが一気に顕在化する。このように繰り越される需要をペントアップデマンドという。
のだと。
あとは、宅配業界のところでハーフィンダル・ハーシュマン指数(HHI)ってのが出てきまして、これが結構使えると思うんだな。
で、ハーフィンダル・ハーシュマン指数(HHI)って何かといいますと
ハーフィンダル・ハーシュマン指数(HHI)とは、各企業の市場シェアを2乗して足し合わせたものである。HHIは、競争業者の数が多ければ多いほど小さくなるだけでなく、企業間の格差が小さいほど(シェアが拮抗すればするほど)小さくなる。それ故、HHIが小さければ小さいほど、激しい競争に陥りやすいと推測できる。
う・・ん、よくわからん。
ウィキペディアによると
ハーフィンダール・ハーシュマン・インデックス(Herfindahl-Hirschman Index, HHI)とは、ある産業の市場における企業の競争状態を表す指標の一つ。
その産業に属する全ての企業の市場占有率の2乗和と定義される。
HHIは独占状態においては 1(数値に%表示のものを用いるときには10000)となり、競争が広くいきわたるほど 0 に近づく。寡占度指数とも呼ばれる。
例えば、2社による寡占状態であり、市場占有率がともに50%である場合、HHIは2×0.52=0.5となり、100社の市場占有率が全て1%ずつである場合、HHIは100×0.012=0.01となる。一般にn 社が全て同規模であればHHIは1/n となる。
この指標は、市場が寡占状態か競争状態かを見分けるのに効果的であるが、地理的独占や特定商品における独占などは数字に表れないことに注意が必要である。
公正取引委員会が、企業の合併を認める際の指針として採用している。
しかし、世の中勉強しなければいけないことばかりだ。
タイトル;一橋MBA戦略ケースブック
著者:沼上幹+一橋MBA戦略ワークショップ
発売元:東洋経済新報社
おすすめ度:☆☆☆☆(勉強だな)