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マンガ「グラゼニ」が大好きな、ウェブ系の何でも屋さんが綴る、仕事とか、読んだ本のこととか、日常とか、世の中に関する忘備録。

プランB 破壊的イノベーションの戦略

著者:ジョン・マリンズ+ランディ・コミサー
訳者:山形浩生
発売元:文藝春秋

目次

はじめに なぜこんな本を?
第0章 プランAは失敗する
―携帯の暗号技術から出発したペイパル
第1章 発明より改善を
ウォークマンナップスターを融合しiPodを開発
第2章 ダッシュボードの力
―イーベイからひらめいたグローバルギビングの寄付金集め
第3章 売り上げモデルという生命線
―グーグルは売り上げゼロモデルから出発
第4章 粗利モデルで行き詰まりを避けよう
パタゴニアの顧客は高価格でも企業理念を買う
第5章 運営モデル改善で贅肉を落とす
サウスウエスト航空という師を超えたライアンエアー
第6章 運転資金モデルで現金力をつける
コストコは会費制で現金を先取りする
第7章 お金がお金を生む投資モデル
スカイプは初期投資ゼロで通信業界を一変させた
第8章 各種モデルを組み合わせる
―アマゾンやザラはなぜ他の追随を許さないのか
第9章 独自のプランBを見つけよう!
―本書を振り返って自分に何ができるかを考える

 

感想

世の中で成功している企業の多くは、プランAのビジネスモデルではなく、プランBのビジネスモデルを採用しているのだ!

 

と、よく語られますが、その語られる原因がこの本。

 

もうさ、そうやって語っている方々、本読んでいないでしょ?と思えてきますわ。

 

プランAがダメになったら、プランBに切り替えろって言うのはあっているのだけれど、最初からプランBを用意しておけ、とは言っていないのだ、この本。

 

どっちかってーと、プランAをよく考えろ、と言っている。
で、プランAをちゃんと考えると、おのずと成功するプランBが見えてくる、と言っている。

 

でもね、「よく考えろ」というのは、無駄に妄想を巡らせて「確信する」という箇条書きをたくさん集めろ、ということではないんだな。3C分析とか、4P分析とか、そういうのをしろと言っているわけではない。

 

じゃあ、何をしろ?と。


プロセスと内容を1つにまとめたビジネスグリッド・モデルを作成せよ、と。
そのビジネス・グリッドモデルの縦軸と横軸は、こうだ、と。

 

縦軸は
・売上モデル
・粗利モデル
・運営モデル
・運転資金モデル
・投資モデル

横軸は
・関連類似例とそこからの数字
・関連する反例
・いまのダッシュボードの核となるべき未踏の信念
・信念を検証するための仮説

 

こいつをダッシュボードとして、利用しろ、と。

 

で、それぞれ「売上モデル」とか「粗利モデルと」とかなにかというと、その説明は33ページに書かれている。

 

売上モデルとは…誰が可能か?どのくらいの頻度で?どのくらい早く?どのくらいの対価で?顧客一人が買うたびにいくら入ってくるのか?顧客はどのくらいの頻度でまた買ってくれる?

粗利モデルとは…売ったものの直接経費を払ったら、収益のうちどのくらいが残るか?

運営モデルとは…販売した商品やサービスにかかる費用以外に、売上を支えるためにどんな費用がかかるか?

運転資金モデルとは…顧客にどのくらいすぐ支払ってもらえるか?客の購入を待つ大量の在庫に資金をかける必要があるか?納入業者への支払いは顧客からの支払の後でよいか?
投資モデルとは…運営経費をカバーできるほど充分に客を集め、ビジネスがしっかり回り始めるまで、事前にいくらぐらいの金をつぎ込む必要があるのか?

 

ぶっちゃけ、本書の肝はここで終わるw ちなみに、これらの扱いは第0章w
じゃあ、ひたすら各社各国の事例が出てくる後半は読まなくてよいかというと、そんなことはない。ためになるので読んだほうが良い。

 

ビジネスグリッド・モデルにあわせて成功事例が紹介されているので、事例が非常にわかりやすい。

そして、そんな事例紹介の中にも、輝けるフレーズがある。

それは、たとえば68ページ。

 

キャッシュフローこそ、事業の生命線。
現金があればこわくない。

運転資金とは、事業を続けるために起業が短期的に手元に持つべき現金。
運転資金=短期資産-短期負債
顧客からはできるだけ早くお金を受け取り、
支払い業者には、支払いを遅くする。
これによって、手元にできる現金をマイナスの運転資金という。
運転資金が不充分だと、資金ショートをおこしかねない。
逆に運転資金をうまく考えておけば、初期投資や借り入れはかなり低く抑えられる。

 

次に304ページ。

最初の投資額は少なければ少ないほうがいい。
そして、なるべく投資家の手は借りないこと。
そうすれば、成功したときに自分の儲けもしっかり確保できるし、
急に会社が身売りされることもない。
投資家を集めることはむずかしい。なるべく投資を抑えて外部の資金を不要にするほうが賢明。

 

世界中の成功したビジネスをわかりやすく紹介してくれる素敵な本だったりする。

派手なタイトルにだまされないことを、おすすめします。

 

プランB 破壊的イノベーションの戦略

プランB 破壊的イノベーションの戦略

 

タイトル:プランB
著者:ジョン・マリンズ+ランディ・コミサー
訳者:山形浩生
発売元:文藝春秋
おすすめ度:☆☆☆☆☆