著者:長谷川博一
監修:新日本プロレスリング
発売元:KADOKAWA
目次
第1章 プロレスが死んだ日
第2章 奈落の底に落ちた新日本プロレス
第3章 蘇る新日本プロレス
第4章 年商100億円への道
第5章 レスラーたちの覚悟 棚橋弘至/中邑真輔/オカダ・カズチカ
第6章 新時代のプロレス
感想
プロレス好きしか、この本を手に取らないかと思いますが、きっちりとしたビジネス書だわ。戦略というか、失敗学とうか、組織論というか、だめになった会社の立て直し方がよくわかりますわ。
80年代まで、プロレスはテレビの一コンテンツとしてブームになっていた。90年代はプロレスそのものがもつコンテンツ力でブームを作り上げてきた。
しかし、2000年代、総合格闘技ブームに負けてしまった。PRIDE、K-1の人気直撃をモロに食らったのが、ストロングスタイルを社是とする新日だった。
この時、プロレスと総合格闘技をミックスさせる、それこそ中邑真輔的なレスラー育成に成功していたら、もしかした、今の新日は、なかったかもね。
総合格闘技的なプロレスに嫌気を感じて、メジャーな中堅どころ以上が新日を脱退。
この頃、全日とNOHAが日本のプロレスの中心でしたね、と。
ここで地獄をみた新日と、均衡縮小のなか天下をとってしまった全日&NOAHの差が、その後、すごくなるわけですよ。いまや、開店休業状態だからね。
地獄をみた新日がとった手法は、原点回帰なんだよね。プロレスの魅力はレスラー個人の持つ魅力と、ライブ性。ここに注力した。
力道山の時代はまだしも、猪木&馬場の時代になってから、プロレスはテレビありきになってしまっていた。これを、まず、見直した。
プロレスというコンテンツ力を世間に再認識させるようにした。そのいち例が交通広告ジャックだったりするわけで。
無論、それだけでは復活できない。ライブ性が魅力といっても、ライブに頼っていてはキャパは後楽園ホールで、国技館でいっぱいになってしまう。
そこで、頼ったのがWeb。制約の多いテレビに頼るのではなく、Webに活路を見出した。さらにそのWebを自社で管理更新するようにし、コンテンツそのものの質を担保するようにした。
昭和的な営業手法を改めたり、ちゃんとした親会社による、ちゃんとした経営管理も、間違いなく成功要因の、ひとつだと思うけれど、最大の要因はプロレスのコンテンツそのもののを磨き上げ、基本に、立ち返ったことだとおもうわ。
どんなプロレス好きだって、いつまでも馬場や、猪木、長州や、天龍に、三銃士じゃ、ないんだよな。
新たなスターを作り出すシステムを作ら直したのが、偉いですわ。
タイトル:新日本プロレスV字回復の秘密
著者:長谷川博一
監修:新日本プロレスリング
発売元:KADOKAWA
おすすめ度:☆☆☆☆(これは良書)