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日本の名機をつくったサムライたち

著者:前間孝則
発売元:さくら舎

 

感想

 

著者は石川島播磨でジェットエンジンの設計に二十年間従事していたお方。なので専門家なのですよ。飛行機について。そんな専門家が、日本の航空機産業における偉人を、優しく教えてくれる本。


サブタイトルが「零戦紫電改からホンダジェットまで」とあることからわかるように、みんなが知っている飛行機が中心なので、「飛行機、全く知らないよ」という人でもとっつきやすくなっております。

 

で、「サムライたち」とありますので、主役は飛行機そのものではなく、飛行機を設計開発した技術者だったりするのですね。有名なところでは零戦の開発者である堀越二郎(宮﨑駿映画『風たちぬ』のモデルですね)や、日本ロケット産業の父・糸川英夫(この人は隼の設計開発者ですね)が紹介されていたりします。

 

が、中には土光敏夫といった政財界の有名人の名前が並んでいたりもします。元経団連会長で、石川島播磨重工業社長だった土工さん、なんと、ジェットエンジンの開発者だったのですね。そんなこと知らなかったのでかなりびっくりでしたわ。びっくりしたといえば、戦後初の国産民間飛行機YS-11の開発リーダーだった東條輝雄さんって、東条英機総理大臣の息子さんだったのですな。

 

様々な侍が紹介されているのですけれど、一番興味が惹かれたのは二式大艇や、九七式大艇を開発設計した菊原静夫さんですね。旧川西航空機設計部長で、新明和工業取締役だった方です。この二式大艇や、九七式大艇が、現役の飛行艇であるUS-2につながっていると思うと胸熱でございますな。

 

で、いろいろと読んでいると、スバル360や、初代カローラや、プリンス自動車なんて単語がポチポチ出てくるのですよ。戦後、飛行機を作ることができなくなってしまった技術者が、向かった先が自動車産業だったわけで。そう考えるとあれですな。この本の自動車版が読みたくなるわけなのですよね。

 

日本の名機をつくったサムライたち 零戦、紫電改からホンダジェットまで

日本の名機をつくったサムライたち 零戦、紫電改からホンダジェットまで

 

タイトル:日本の名機をつくったサムライたち
著者:前間孝則
発売元:さくら舎