著者:庭山一郎
発売元:日経BP社
感想
最近やたらと、この言葉を耳にします。アカウントベースマーケティング。略して、ABM。このワードもバズワード決定かな、なんて思っていましたけれど、そうじゃないと。
ものすごく新しい概念であるABMなのですが、本書では
ABMの価値は、これまでうまく連携できなかったマーケティング部門とセールス(営業)部門をしっかり連携させる点です。
と定義しております(12ページ)。
この他
全社の顧客情報を統合し、マーケティングと営業の連携によって、定義されたターゲティングアカウントからの売上最大化を目指す戦略的マーケティング
と定義しております(15ページ)。
これがこの本の著者である庭山一郎サン率いる、シンフォニーマーケティングの定義だと。
営業とマーケティングの分断を無くする。営業が欲しいリードを定義して、そのリードを育成・獲得するようにマーケティングは業務を行う。ワタシが、いつも仕事で説明しているやり方が、そのまま書かれておりました。
でも、ワタシはこの考え方をABMから学んだのではないのですけれどね。 営業が欲しいリードを定義して、そのリードを育成・獲得するようにマーケティングは業務を行う はトヨタ生産方式の、カンバン方式から見つけ出したものなのですけれどね。
一般にはジャストインタイム生産システムとして知られている。ジャストインタイムで生産するために考えられた方式で、元々は「スーパーマーケット方式」と呼ばれた[2]。これは作業の前工程をスーパーマーケット、後工程をスーパーの顧客に見立て、スーパーマーケットである前工程は「顧客」にとって必要十分な量の部品を予想して生産し、顧客である後工程は必要に応じて「スーパーマーケット」に部品を受け取りに行くというもの[2]。
これによりそれまで生じていた部品の需供の不一致の解消を図り、無駄を削減した。この方式で後工程が前工程に部品を受け取りに行くときに発行する帳票を「かんばん」と称したことから、この方式はかんばん方式と呼ばれる[2]。
マーケティングの後工程にある営業が欲しているものを用意するのがマーケティングのしごと。その状況を営業に伝えるマーケティングの看板がSFA。
でも、本書にはそういうことを書いていなかったけれどですね。
でもですね。
アカウントベースマーケティングって、そういうことだと思うのですよ。
営業が欲しているタイミングで、欲しているリードをトスアップする仕組み。それがABM。そして、そんなジャストインタイムなマーケティングを意味しているのだ、と。
もう、世界中で営業とマーケティングの断絶が話題になっているので、ワタシが仕事であっちこっちのお客さまと、マーケティングの話をするときは、いきなり「この施策を受けて動く担当営業のヒトをプロジェクトに入れてね」ってやりますけれどね。そうやって営業の人を巻き込まないと、BtoBのマーケティングは成功しない。
ちなみに、多くのBtoB企業で営業の方はマーケの方を敵対視しているので、ものすごいアウェイな状況でプロジェクトは始まりますけれどね。でも、そうやらないと、プロジェクトは成功しないですけれどね。
ただ、ちなみにそうやると「こんなコンサルに金払うなら、客を接待連れてったほうが案件取れるよ」と言われるので、気をつけましょうね。それを打ち返さないと、プロジェクトは先に進みませんがね。
まぁ、ワタシは知っていますがね。
ABMって概念はアメリカでも生まれたばかりで、かつ、アメリカでもアンチが居る状態で、枯れている話ではないのですけれど、庭山さんは、わかりやすく、かつ日本の市場で使えるようにABMを説明してくれるので素敵です。
最近良く耳にするBtoBマーケティングにおけるWeb広告の残念さや、中規模企業以上でのインバウンドマーケティングのなんだかなぁ。。ということもしっかり説明されている良い本ですわ。
究極のBtoBマーケティング ABM(アカウントベースドマーケティング)
- 作者: 庭山一郎
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2016/12/07
- メディア: 単行本
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タイトル:究極のBtoBマーケティング ABMアカウントベースマーケティング
著者:庭山一郎
発売元:日経BP社
おすすめ度:☆☆☆☆☆(名著だね)